2020年の五輪開催地が東京に決まったことで、早くも建設特需に期待する声があがっているようです。財政が危機的状況を迎えている中で、果たしてどの程度の整備が行われるのかわかりませんが、すでに飽和状態に近い首都圏の航空需要も格段の増加が見込まれることから、羽田空港、成田空港とも発着枠を増やせるよう検討がされるようです。
また、両空港を結ぶ直通鉄道の開設もうわさされています。一説では現在55分程度かかる両空港のアクセス時間を35分程度にすることができるとも言われ、国際・国内線の乗り継ぎが便利になる可能性があります。
こうした話題の中で蚊帳の外に置かれているのが茨城空港。
茨城県やつくば市のほか東京都も出資する首都圏新都市鉄道のつくばエクスプレス。土浦・水戸方面への延伸についてはかねてより要望する声もあるのですが、まったく見向きもされていません。水戸方面へ延伸となれば、当然茨城空港もルート上として候補に上がり、現状の高速バスを利用した所要時間が大幅に短縮(東京駅-茨城空港間1時間も可能?)。首都圏での利便性が格段に増し、首都圏への参入が難しい中小・新興航空会社の就航も見込めるのですが、政府には大手航空会社向けの羽田・成田のことしか頭にないようです。
羽田・成田の発着枠拡大についても、直通鉄道建設についても、相当以前から構想はありながら実現できなかったものをこの先6年ほどで実現できるくらいなら、なぜ今までやらなかったのでしょうか? 五輪開催をお題目にしてあれもこれもと、今まで財政や政治、周辺自治体の事情などから先送りしてきた課題を一気に片付けようと、無理やり行うことには疑問があります。当然、TXの茨城空港乗り入れもこの機に乗じて行おうとすることには反対ですが、それならば羽田や成田だけ整備すればいいのかというとそれもどうかと思います。
近隣住民の反対も考えれば、成田空港は特に発着枠を大幅に拡大するのは問題があります。実情を鑑みて、どの程度これから発着枠が足りなくなるのか、その需要を羽田空港だけでまかなえるのか、他の空港(中部や関西など)にも振り分けが必要なのか、その対象に茨城空港が当てはまるのか。需要予想をしてどこに優先的に費用を使うのか提示してもらいたいです。
本来、コンパクトでお金のかからない五輪を目指していたはずなのに、いざ開催が決まるとお金を使うことばかりで将来的見地のない話しばかりでは困ります。首都高の老朽化対策、環状線の整備も以前からの課題だったはずで、五輪があるからやろうという話しではないはずです。
成熟した都市の再構築は新たに都市を建設するより莫大な金額がかかるわけですし、東京への投資一極集中はもし直下型地震が来たときには目も当てられない惨事になります。本当であれば首都移転や副首都構想なども視野にいれて、より金銭的負担のかからない、重大災害にも対応可能な国家・首都建設を考えるべきだったのでしょうが、いまとなっては仕方ありません。
今あるインフラを最大限活用し、将来どう活かしていけるのかを考えなければいけないと思います。そのために費用対効果で優れている選択はなんなのか、いろいろな案を出して検討して欲しいです。その中で、茨城空港は周辺地価が安く、かかる費用が相対的に少ない割りに、整備さえすればセカンダリー空港として競争力もあり、将来性十分な空港であると思えるのですが、政府の方々にとっては検討にすら値しない案なのでしょうか。